【追悼】愛川町『たまのや寄席』市川直久さん
2026年6月17日午前11時、私の大切なご贔屓であり、『たまのや寄席』席亭でもありました市川直久さんが逝去されました。
76年間の人生を謳歌され、周りを笑顔にしてくれる素晴らしい方でした。
神奈川県愛川町の文具店「たまのや」の店長。愛川町の方ならみんなが知っている市川さん。裏表なく明るくて情熱的で、まさに太陽のような人でした。
「かっぽれ」をはじめとした踊りから、オリジナルソングを作詞・作曲して、仲間の皆さんとライブを開催して熱唱。いつも見事にお客様を魅了していました。
私が真打に昇進した2014年の『住吉踊り』。ここで大勢の中で踊っている私を見てファンになってくださいました。
落語じゃなくて寄席の踊りだけでとにかくご贔屓になってくださったのは、後にも先にも市川さんだけです。
それからは独演会に欠かさずお越しくださり、出会って一年半後には愛川町で私の独演会『たまのや寄席』を開催してくださることになりました。
続けていくうちに「もう私の店の中に小劇場つくりますので、やまと師匠ずっとお願いしますよ!」と、本当に50名規模の劇場を完成させちゃう有言実行の人。
この『たまのや寄席』では私から市川さんに助演をお願いして、毎回楽しそうに歌って踊って。そしてお客様も本当に喜んで。
私はこの面白い日々がずっとずっと続くと思っていました。でも、ひと月前に急に告げられた余命宣告。私もすぐにご連絡いただき、6月1日に家内とお見舞に伺ったのが最後となってしまいました。
髪型も師匠才賀とよく似てますよね。カメラを向けるとすぐ変顔してくれるし。また洒落を言うのが大好きで。
うちの師匠みたいなところも親近感がわくポイントだったかもしれません。
いつもニコニコしてて、愛川町の仲間の皆さんも何十年というお付き合いで。
自宅療養になってからも最後の最後まで、代わる代わる付き添って看病してくださってました。唯一無二の仲間ですよね。
「本当に幸せですよ」
ベッドの上で私の手を強く握りながら、市川さんはそう言ってました。
「市川さん、まだまだがんばってよ。元気になってもらいたいからさ、かっぽれ踊ろうか!!」
私は持参した着物にすぐ着替えて、かっぽれを市川さんのためだけに踊りました。目の前にいる大切なひとのために。市川さんは泣いて喜んでくれました。
誰でもいつかは天国に行きます。私もそのうち行くことになりますから。それまで歌って踊って待っててくださいね。
「やまと師匠と一緒にかっぽれを踊る夢だけは、最後まで叶わなかったなぁ……」
そう言ってましたけど、それは天国でぜひ叶えましょうよ。あとどのくらい後かわかりませんが、私もちゃんと稽古して準備万端にしておきますんで。
市川さん、こんな私を見つけてくれて本当にありがとう。
合掌
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