「あのねぇ、いつもそうなんだけどさ〜、あなたはパッと決めたことをいちいち宣言しないほうがいいんだよね」

ブログを書くと言ったわりに手をつけてないあたしを見て、カミさんが余裕の笑みを浮かべながらあたしにそう言ってきました。その勝ち誇った顔はどこから来るものなのかはわかりませぬが。それはただただあたしを本気にさせるだけであります。

ん? 待てよ……これは作戦なのか?? 

夫婦はバランスの曲芸のごとし。太神楽の五階茶碗を見ていると、下で支えているほうが前後左右に細かく動いているおかげで上に乗るものが見事に安定しています。これを夫婦に当てはめてみるとですね、お互いが下の役目を担っているんだと思ってる。「あたしのおかげね」とか「俺がいねえとダメだな」なんて互いに考えてるもんで。皆さんのお宅でもそうじゃありません?

まあ、あたしはそんな感じでいいのかなと。自分は相手よりできてるとか、またはできてないとかじゃなくて、何かほっとけないというか……まずは何でも意見を言える間柄であればなんとかなっちゃうもんじゃないでしょうかねぇ、夫婦ってえのは。あたしはそう思うなぁ。もちろんお互い尊重してるのがわかっているのが前提ですけどね。

って、今日はそんな話をしたくて書き始めたわけじゃないのよ……。それでは、一気にノーベル賞のお話へ。

今月はこんな状況下ながら行ったり来たりすることが多く、高座を勤め所用をこなしながら新たな発見を求める日々。本を読んで「へ〜え」と感心していることも大切ですが、子どものために一緒に行った日本科学未来館は実に良かったですねぇ。東京の有明にありますよ。

先に言っときますが、ここにはぜひ一度は行ってみてください。めっちゃくちゃ面白いんだから〜〜〜!!

まず素粒子のことなんて縁遠いと思ってたんですが……いや、噺家には実際に縁遠いんですけどね……スーパーカミオカンデの10分の1サイズが展示されてて、この規模でもいやはや圧巻。

岐阜県の飛騨に実物がありますが、地下1000メートルに高さ40メートル・直径40メートルの観測用水槽を作っちゃったという、地球だけじゃなくて宇宙全体の謎を解き明かしたい人間のすごさ。宇宙は17種類の素粒子の組み合わせでできているところまで突き止めているそうな。

その素粒子のうちの中性レプトンを「ニュートリノ」といって、1秒間に数百兆個も人間どころか地球を突き抜けているそうです。1秒間に数百兆個かぁ。どうやって数えたんでしょうか……。いま口に出してカウントだけしてみたんですが、5まで数えて1秒経っちゃいました。やっぱり科学のチカラは半端ないです。

素粒子についての説明を読んでみるとなるほど難しいんですが、何度も読んでるうちに何となくわかってくるのが嬉しいもんで。宇宙のスケールの広さを、素粒子という全く見えない小さなものを探っている研究から知ることができる。子どももその意味を理解して「素粒子すごいね」とのこと。

あとはアンドロイド。目の前にいる人の動きをセンサーで感知して、同じように動くという。これは子どもも夢中になってました。あたしもせっかくなので、蕎麦を食べる所作をば。これはアンドロイドもできませんでした。また来た時に稽古つけてあげるからね。それまでよくおさらいしておくように。オッホン。

別料金で観覧できる3D映画も魅力的でした。9次元の世界ねぇ。ドラえもんの4次元から5次元プラスされた世の中はどうなるのか……想像を超えちゃうから面白い。

最後にノーベル賞を受賞した先生方が一人ひとりメッセージをくださっているコーナーがありまして。その中でも目に留まったのがこちら。

大人になっても子どもの心を持ち続けること……人間として生きていくうえで大事な要素かもしれないですね。

そして一番響いたのはこちら。

あたしもやりたいことをやってるつもりだけど、「本当に」と念押しされると、何かに遠慮してたり諦めたりしていることに実は気がついてる自分がいる。子どもの頃は駄々をこねてでも押し通したのにな。あの頃の自分はいついなくなっちまったんだろう……。

よし、あたしもちょいと、子どもに戻ろう。うん、戻ります。決めました。

あ、また宣言してるな……。えっと、それじゃあ宣言しない宣言をここでしましょ。へへへ。