新年を迎えました。様々なことに胸を痛めていますが、噺家として自分にできることを精一杯勤めるべきだと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

大晦日から元日になった瞬間に、西早稲田の穴八幡宮「一陽来復」御守を貼りました。実は授かったのが初めてで、かなり緊張しました……。
もう23年前のことですが、大師匠の志ん朝師匠が矢来町の御宅で同じく元日になった瞬間に一陽来復を貼っているところを、前座の「桂才ころ」と名乗っていた私は見ていました。

やはり前座で「朝松」だった直弟子の志ん陽兄さんが踏み台を支度して、志ん朝師匠のおかみさんや先代志ん五師匠のおかみさんも一緒に見ていました。年越しの時間もお手伝いさせていただけたおかげで、そんな場面を経験することができました。
私は孫弟子の中でも一番下でしたから、大掃除もとにかく懸命にやっていました。大変だったけどとても楽しかった。

大掃除や新年の準備が一段落して、大師匠が一陽来復を貼っているのをじーっと見ながら、「お正月を迎えたんだなぁ」と今でも鮮明に記憶している風景です。
昨年からご贔屓いただいている小唄の蓼津留葉師匠から、「やまとさんも芸人なんだから、一陽来復だけは必ず貼りなさい!」と強く勧められて今年から貼ることにしました。

初席も今年は鈴本演芸場の出番も頂き、浅草演芸ホールの出番と合わせて勤めさせていただいております。お客様に厚く感謝。
明日から『四の日昼席』や『桂やまと独演会』と続きます。一席一席楽しんでいただくことが噺家の使命。今年も一年がんばります。