七日目となります27日は金曜日。そんな金曜の夜にお聴きいただきますのは「百年目」の一席。こちらは『やまと十八番』のひとつに数えられている噺です。はい、自分で言うのは勝手でございますのでご容赦を(笑)。
大ネタ、大ネタと誰もが言う噺ですが、大ネタこそ若いうちからどんどんやらないと出来なくなります。いや、もちろん年を取ってからでも形は作れるんですけど、演じる回数は年齢的にもう限られている。
お客様に聴いていただいて、その後に修正を加える作業を繰り返して、噺というものは洗練されます。理由をつけて逃げる人は負けます。とにかく闘う落語家だけが残ります。私もずっとそうありたいと思って実践中です。
さて私の「百年目」は、五街道雲助師匠から教わりました。2015年3月の独演会で初演しています。真打昇進からちょうど1年後でしたね。
それから何かとネタ出しして演じていますが、やればやるほど深みが増す噺です。また番頭の苦悩が理解できるのは、落語家修行をみっちりしてきたおかげでしょうね。そして年を重ねることでわかってくる旦那の了見。
私も白髪が目立ち始める年頃になりました。その姿を自分で見ることで、「私の人生も間違いなく着陸態勢に入ってきてるんだな」と感じます。
これが寂しいとは思いませんが、一度しかない人生ですから、残りの時間は素敵な人たちと過ごしていきたいとは思いますね。
「百年目」という噺は、そんなテーマが隠れていると私は思っているんです。
この噺の旦那も、一度の人生の終盤に入っているわけです。そして番頭は、一度の人生でその旦那にずっと仕えてきて、人生の中盤から終盤へと向かっています。
どちらの人生にも幸あれ。そんな姿を私の「百年目」で感じていただけましたら嬉しい限りです。どうぞよろしくお願いいたします。
★2025年6月21日(土)~30日(月) 鈴本演芸場主任興行「桂やまと本寸法厳選十席」詳細はこちら→ https://yamato3rd.com/?p=4729