この連載も残すところあと二席。というわけで29(日)は「子別れ」をお送りいたします。
全編通すと1時間はかかる噺です。多くの演者が手がけていますが、前半を「強飯の女郎買い」で後半を「子は鎹(かすがい)」として分けて、後半だけをやることがほとんどですね。
私も後半をやる形にはなりますが、それでも演題は「子別れ」としています。「子は鎹」ってしてしまうと、何だかもうハッピーエンドが見えちゃうじゃないですか……。
たとえば「芝浜」とか「文七元結」って、それだけだと噺の結末まではわかりませんよね。内容をみんな知ってたとしても、演題で結末を表すのは違うよなぁ、という感覚は落語家なら必要だよねと勝手に思っている次第です。
あぁ……いきなり理屈っぽい話題でごめんなさい。私はソフトに理屈っぽい男でござんす。えへへ。
さてさてこの噺は、柳家さん喬師匠から教わりました。調べてみたら偶然にも、稽古日が2018年6月29日でした。あれから7年も経ちましたか。そんな感じがしないんですがねぇ。つい昨日のことのようで。
さん喬師匠に稽古していただいたのが「らくだ」と「子別れ」で、特に「子別れ」については一気に通しでやってくださいました。
1対1でさん喬師匠の「子別れ」通しが聴けるなんて、やっぱり落語家になってよかったわ〜(笑)。
この噺のポイントは『子どもの描き方』ですね。あくまで自然に亀ちゃんを描くこと。笑いを求めてあざとくなると、微笑ましさが消えてなくなる。さん喬師匠の亀ちゃんはとても自然で、気丈に振る舞っているところが見えて素晴らしいです。私もそこは気をつけて演じています。
酒は飲み方間違えるとホントに怖いよぅ。私も10年前まで浴びてましたから。ピタッとやめたおかげで、「子別れ」や「芝浜」がリアルだとお客様から好評です。人生いろいろ、お酒もいろいろ。ぜひお越しくださいませ。よろしくお願いいたします。
★2025年6月21日(土)~30日(月) 鈴本演芸場主任興行「桂やまと本寸法厳選十席」詳細はこちら→ https://yamato3rd.com/?p=4729